【書評】『渋谷ではたらく社長の告白』(藤田晋)を読んで。

読書

サイバーエージェント代表社長、藤田晋。
彼の生い立ち、会社設立から株式上場に至る道のりについて。
本書の感想を書きます。

 

1

 

 藤田氏と言えば、サイバーエージェント、アメーバブログ、AbemaTV、 そしてなにより「26歳史上最年少の上場企業社長」という経歴です。

※藤田氏は2000年3月当時最年少で、その後2006年の岡村陽久氏(26歳)、2011年の村上太一氏(25歳)が最年少となり、現在は3位。 ちなみに堀江貴文氏は27歳の5位です。上場までの期間2年というのは藤田氏が最速です。このあたりは調べてみると面白そうですね。(引用記事

 本書では主に、就職してから会社設立までの道のり、そして会社が大きくなるにつれての苦悩が書かれていて、読んでて結構辛い(おもしろくもある)物語です。

 

2

 

 まず印象に残るのは、藤田氏の猛烈な仕事っぷりです。自分はビジネス書が好きで、猛烈サラリーマンの体験談をよく読むのですが(伝説の野村証券営業マン市村洋文氏の『昼メシは座って食べるな!』など)、藤田氏も結果を出しまくる企業戦士の例に漏れず、尋常でない働きっぷりをします。

終電もしくは始発がほぼ毎日。土日やGW・夏休みも返上で仕事。起業してからは泊まり込む社員が常にいて、周りも含めてひたすら働きます。

 刺激を受けるせいか、この手の話は大好きです。別本にはなりますが、「テレビを買ったが退職するまで一度も電源を入れたことがない(家では寝るだけ)」というエピソードは、映像化されて脳内に残っています。(『運を支配する』藤田晋 )

 

3

 

 本書は中盤から終盤にかけて、資金繰りや社内紛争、上場問題、ネットバブル崩壊、株価暴落、株主からの突き上げ、などの辛い状況に追い込まれます。

 藤田氏の強靭な精神力をもってしても窮地に立たされます。取引相手や株主からの苦情、勝手な風評というのは、本人や会社の存在意義を揺るがします。

 現代のインターネット社会では、「目立つ奴は叩かれる」状況になっています。誹謗中傷からの自殺は社会問題です。発信者、ひいては国の首相でさえ、叩かれ続けると嫌になるだろうな、という思いはあります。

 

4

 

 そこで藤田氏の救いは、お世話になった先輩社長(一見つき放すような、自分でなんとかしろ、諦めるなという態度)と、自分の会社で一生懸命働いてくれている社員たちです。

 「人は他人のために頑張れる」これは真理だと思います。だからこそ、他者からの攻撃はとても痛く感じ、逆に信じてくれた人たちは、大きな支えになるのです。

 

 本書から得られる学びは、
①独立や事業価値の提供を目指して全力で働くこと
②対人関係の厳しさ難しさ
③支えとなる人のつながりを大事にすること、だと思いました。

 

 

 

渋谷ではたらく社長の告白 (幻冬舎文庫)
21世紀を代表する会社を作りたい――。高校生のときに抱いた起業の夢は、サイバーエージェントの設立により実現した。しかし、社長になった彼を待っていたのは、厳しい現実だった。ITバブルの崩壊、買収の危機、社内外からの激しい突き上げ……。孤独と絶望、そして成功のすべてを赤裸々に告白したノンフィクション。夢を追う人必読の書。

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