『自分を愛する力』(乙武洋匡)を読んで。

読書

 生まれつき手足が無いという障害を受け入れ、苦しむことなく人生を歩んでこれたと語る、乙武洋匡氏の「自己肯定力」について。本書の感想を以下に書きます。

 

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 本書を読むきっかけは、有名ブロガー、manablogのマナブさんの推薦によるものです。想像よりもかなり感動する内容で、良い本との出会いを貰ったと思っています。

 自分は、ベストセラーの『五体不満足』を読んでいません。その理由は、勝手に内容を想像して、別にいいかな、と判断したのだと思います。

 しかし、本書を読んでみると、乙武氏の持つ強い自己肯定感だったり、母親の寛大な愛だったり、父親の陰での思いやりがあって、どんな人にでも、心に訴えるところがある本だと思いました。

 

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 本書は四部構成になっています。①息子として、②教師として、③父親として、そして最後に精神科医の先生との対談です。ひとつひとつに良いエピソードがあります。

・小学校3年半、母親は教室の外で待機
・何をしたって、喜びでしかない
・先生の厳しさは真の愛

・親の愛情、褒めること
・「ちがっている」子供たち

・妻の母親になる怖さ
・自分の不甲斐なさ

 

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 まず、愛を受けて育ちます。母親、父親、担任の先生。だからこそ、乙武氏も自信を持ち、学校でいじめられることもなかった。臆することがなく、常に笑顔でいられたのは、絶対的な愛情に支えられていたからです。

 この体験が生きて、乙武氏が自ら小学校の先生(杉並区で3年間)になったときも、生徒たちに、ひたすら良い所を伝えます。本人に限らず、実家に電話までして、生徒の母親にも、子供たちの素晴らしさを伝えます。

 現代の子供たちは全然甘やかされていない、のが実情のようです。右を見て、左を見て、そして比較されるのは、日本人の性質でしょうか? そこで乙武氏は「人と違っていいんだよ」ということを伝えます。

 

4

 

 自己肯定感が強い乙武氏でも、自分の子供ができたときには、子育てや、安全確保がままならず、自分の無力さに打ちのめされます。

 しかし、小さな子供が逆に、父親である自分の不自由さを助けてくれる姿を見て、「子供が成長している!」との気付きを得るのです。「父親も違っていいんだ!」と。

 日本人は真面目過ぎると言われます。他者に対する厳しさは、自分にも返ってきます。「人と違っていいんだよ」この言葉を胸に込め、他者を許し、自分を許し、自己肯定感を高めることが、筆者、乙武氏の言いたいこと、本書の趣旨だと思いました。

 

 

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