【書評】『一人称単数』(村上春樹)「ウィズ・ザ・ビートルズ」を読んで。④

読書

 村上春樹、6年ぶりの8作品からなる短編集です。
自分は村上春樹好きで、本書の1作品ずつを紹介したいと思います。
ネタバレあり、閲覧注意です
今回は4作目「ウィズ・ザ・ビートルズ」。

 

4作目『ウィズ・ザ・ビートルズ』(p73~p121)

【あらすじ】
 1965年、世間がビートルズに熱狂していた頃、高校二年生の「僕」に彼女ができた。ある秋の終わりの日曜、彼女を迎えに彼女の家まで行った。そこで彼女の兄(4歳上)
に出合い、その兄と話すこととなる。

 大学生になり結局彼女とは別れる。そこから更に18年後、彼女の兄とふと街中で出会うことになり、再び話す機会を得る。

 

【解説】
 この物語は面白いです。短編集の4番目にして、文章量にもボリュームがあり、そしてなにより、話に吸い込まれて先が気になる展開です。

① ビートルズのLPを持った、すれ違っただけの同級生の女の子
② 別の女の子と付き合うことになる
③ その兄との会話、記憶の欠損、読み聞かせ
④ 18年後、その兄との再会

 大きく分けて4場面からなる物語です。実はこの作品は「彼女の兄」との会話が中心で、「ビートルズ」や「彼女」もメインではありません。

 

 彼女の兄の修飾として、彼女が居て、その彼女を修飾する「理想の女性像」である、一度すれ違っただけの同級生の子が居る。またその子は、「ビートルズのLP」によって修飾されている。そんな構造です。

彼女の兄 ← 彼女 ← 理想像の女の子 ← ビートルズ (※修飾関係)

 その兄には、時々記憶を無くす症状がある。それを理由に、高校もろくに行かずに卒業。現在も無職。主人公の僕に、本を読んでくれと頼む。ここでのやり取りが、長くて面白い。モーツァルトの曲を録音した、テープレコーダーの切断を例えにしたり。

 

【感想】
 本書の印象は、この『ウィズ・ザ・ビートルズ』に集中するのではないかと思います。
(まだ8作中の4作しか読んでませんが)それぐらい、しっかりとした物語です。

 最後、18年後に、彼女の兄との偶然の出会いがあります。(この本全体は、神戸の話なのですが、再会は渋谷で起きます)ここでの会話はぜひ、自身で読んでもらいたいです。

 ビートルズや時代背景の紹介があって、初恋の子への思いが綴られ、そこから現在の彼女との恋愛話が展開するのかと思ったら、実は兄の話、という面白い構造をした作品です。

 

 今回は核心には踏み込んでませんが、

・ぬぐいされない想い(初恋の子、彼女)
・記憶できない兄
・人の生死、(読み聞かせ、彼女)

記憶できない一方で、忘れられない、この対比がテーマだと思います。
是非、実際に読んでみて、物語を見て下さい。

 

 

 

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